そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ

人気のない城の廊下を、入鹿くんと二人で歩く。

「じゃあ結月様、また明日!」

「う、うん。楽しかったよ、入鹿くん」

私を部屋の前まで送り届けると、入鹿くんは踊るような足取りで何処かに去っていった。

……怖かった、けど。それだけ主として大切にされてるって事なんだよな。それは嬉しいかも。

そんな事を考えながら、襖を開けた。





「やぁ結月ちゃん!楽しかったかい!?」

「ッッ!?」

襖のすぐ先に立っていたのは龍さん、その人だった。

顔は笑っているが、彼が咄嗟に捕まえた私の手首を握る力が、有り得ないほど強い。

「ちょっときみには聞きたいことがあるんだ」




ぱたん。襖は閉まった。