そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ

人……いや性格には式神でごった返す遊園地に、式神達の間で美味しいと話題のカフェ。更にはそう言ったエリアだけではなく、大草原や異国情緒漂うエリアにも行った。


西の空が赤く染まり始めている。

「あー!いっぱい遊びましたね、結月様!」

「ふふ、うん。楽しかったよ」

今日一日、繋がれた入鹿くんと私の手が離される事は無かった。

この世界は皆がこんな風に優しくて、気を抜くと涙が零れそうになる。

「結月様」

途端に入鹿くんの声がワントーン下がる。


「……龍さんは、貴女を…いっそ僕と!」

「……うん?」

言っている意味が分からない。首を傾げると、入鹿くんの声は元の高さに戻った。

「……あはは、気にしないでください。ただの気まぐれですから……それより、あっちの方に高い塔があるんですよ!最上階に茶屋もあります、一緒に上りましょう!」

私の手を掴んでいる入鹿くんの手が、何かを堪えるように小さく震えていた。