そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ

この世界に来てから初めて城を出る。

「龍さんが怒るかもしれないけど……ま、いいですよね!」

「えっ」

式神が引く人力車に乗った後、入鹿くんが突然そんな事を言った。

「えっ…ええ…出かけること、知らせてきてないの?」

「まぁまぁ、あの人の事はいいじゃないですかー!そんな事より楽しみましょう?式神達の居住区は城下町みたいになってて、いろんなお店もたくさんありますよー」

完全に入鹿くんのペースに呑まれている。どことない後ろめたさを感じながらも、私はそのまま人力車に乗り続けた。