そうだ、鏡は異世界に通じているらしいよ

「……貴女が居てくれて、本当に良かった。僕は幸せです」

その顔は笑っているけれど、何故か瞳の奥に哀愁を秘めていた。

「入鹿くん……そんな事、私言われたことなかったんだ。嬉しい。ありがとう…」

今、自分は笑えているだろうか。






「結月様結月様!まだ結月様は式神達の居住区に行かれてませんでしたよね、一緒に行きませんか!?」

「ふふ。うん、分かった!」

食事を食べ、膳を片付け終わった後の事。私は入鹿くんにぐいぐい手を引っ張られ、式神達の居住区へと足を伸ばしていた。

「この世界は、この城が中心にあるんです。その周りに、まるで人間のような式神達が暮らしてるんですよ!」

「あぁ、うん知ってるよ!龍さんと一緒に屋根から見たもん」

「お、そうでしたか!」


……この子といると楽しい。心の底からそう思った。