……中学生の頃だった。
私の母校は港のそばにあった。
入鹿さんを買ったのはおそらくあの時だ。あの暑い夏の日。一人きりで、とぼとぼと中学校から帰っていた、あの日。
港の側、年季の入った看板を掲げる港の雑貨屋の前で、はたりと足を止めた。
店の中、商品棚の下の方で、太陽に反射した何かがキラリと輝いたから。
気づいた時には店のドアベルが鳴り響いていた。
「いらっしゃ~い、結月ちゃん」
のんびり店番をしていたおばあちゃんが私に声をかける。私は苦笑いしつつ、光の正体を探るために商品棚をじっと見始めた。
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