白王子と黒猫


私達は教室に着くとそれぞれの席に座った。目の前の女の子が振り返る。私の親友の如月有理香だった。
「おはよう猫。」
「おはよう有理香!ねえ聞いて。今日朝からねー。」
「知ってるわよ。来る途中で見かけたもの。告白はいつするの?」
「そろそろしようかなと思ってるんだけど…もっと仲を深めてからの方がいいかな?」
「はたからみたら付き合ってるように見えるわよ?仲を深めるには告白とかで相手を意識させる方が手っ取り早いんじゃないかしら。」
「そういえば有理香はまだ彼氏作らないの?この前イケメンだって噂の日村先輩振ったんですって?」
私は有理香を肘でこづく。
「私の好きな顔じゃなかったのよ。」
有理香はとっても美人だ。繊細な顔つきに細い手足。人形のような見た目。そんな彼女が私の親友だっていうんだから鼻が高い。
「あ、小テストはどう?合格できそう?」
「ばっちりばっちり!白からプリントもらったもの!」
私は有理香にプリントを見せた。
「はあ…相変わらずすごいわね。こんなにわかりやすく…。先生にでもなったら生徒は賢くなりそうね…。」
「そうだね。おかげで私はなんとかなってるし。」
有理香と私は微笑む。
「頑張りなさいよ。」
「うん!」
私は元気よく返事をした。



小テストが終わって二時間目の体育の準備をする。有理香は体型維持には必須!告白前にたくさん絞っときなさいとかいわれた。

(そんなこといわれても…。胸とか…ないに近いし…。)

私はため息をついた。男の人は肉付きがいい人が好きらしい。現に短距離走の時に男どもは走っている女の子(とても大きな胸の子)の胸を見ている。

(どうやったら胸とかできるんだろう。あと、顔!)

私の顔は平凡そのものだ。私が中学生のとき私と白が遊んでいた時、ナンパにあった。ーー白に。白は男性受けの良い顔をしている。

(…男にヤキモチするのってどうなのかしら。ありなのかな?)

私はさらに深いため息をした。

「…あっ!東雲さん!危ない!!」

その声を聞いて我にかえると同時にとても痛い豪速球が顔にぶつかった。私はそのボールもろとも床に倒れた。

「…ねこ…ー!しっかりー!」

有理香の声が聞こえるが返事を返すことはできなかった。







「…ん?…」
私はゆっくりと意識を浮上させる。天井が見える。
「あ、気がついた?猫。」
「あ、有理香…。ここどこ…?」
「保健室。…大丈夫そうね。よかった。私、先生に報告してくるわね。」
「ありがと…。」
「気にしないで。」
彼女は微笑みながら保健室を後にする。すると保健室の外から何やら会話が聞こえる。私はくらくらするので目をふさぐことにした。
「あ、如月さん。猫の具合はどう?」「ええ。大丈夫みたい。私先生のところへ一応報告に行くわ。少しして具合が悪いみたいなら連れて帰ってあげてね。」

(あー。帰るのか…。それもいいな。朝からついてなかったし。貧血だとか言って帰ることにしようかな…。顔面に当たったなら腫れてるだろうし。告白どころじゃないよね。)

私は考えごとをしているとカーテンが開く音がした。白だろう。
「あれ、寝ちゃってたのか。」
白に返事をしようかと思ったがあまりにも気持ち悪かったので寝ていたことにしよう。私は目を閉じたままにしておく。
「……。」

チュッ

私の唇にやわらかい感触があった。


(……………………………ん?)

私の頭は回らない。この感触はなんなのだろうか。
白はカーテンを閉じて保健室を出て行った。私は思考を続ける。


(指…じゃない。えっと…。唇…にするっていったら…。あ、キスか。………ん?キス?)

「……?!」

私は驚きのあまり目をあける。

(えっ、なんで!?私、白にキスされた!?嘘っ……!)
私は顔が赤くなっていくのをかんじた。唇にそっと触れる。微かな体温を感じた。それに彼の匂いもあった。

(どうして…!?)

私はベットの上で呆然とした。