わたし、結婚するんですか？

　ちょっと親近感を覚えて、笑いそうになってしまったが、遥久は部屋を見上げたまま、
「洸のやつ、覚えてやがれ」
と洸に対して毒づき始めた。

「あのー、課長。
　洸のこと、好きなんですよね？」
と思わず、確かめるように言ってしまうと、

「好きだが？
　なにか？」
と威嚇するように言われてしまう。

　この言い方だと、なんにも伝わってない気がするんだが……。

　今、男の俺でも、本当か？　と思いそうになってしまったからな、と思っていると、遥久は自分の前をさっさと通り過ぎながら、軽く手を挙げ、

「じゃあな、お前も早く帰れよ、ストーカー」
と言ってきた。

　いや、あんたは違うのか……？　と思いながら、その後ろ姿を見送った。