葉山はみんなと帰ったふりをして、洸の部屋を下から見上げていた。
明かりはついているようだが。
まだ課長出てこないな、と思う。
さっき、自分たちが帰ったあと、洸に喫茶店に追い払われていた遥久が戻っていくのを見ていたのだ。
まさか、このまま泊まる気か? と思っていると、遥久が出てきた。
自分と同じように、時折、洸の部屋を振り返り見ている。
ほっとしていると、特に隠れてもいなかったこちらを見て言う。
「どうした、ストーカー。
まだ居たのか」
……この人は言葉を選ぶということをしないのだろうかな、と葉山は思った。
これだけのイケメンで仕事も出来て、自分に自信があるから、怖いものなしなのか? と思ったのだが、遥久はまた後ろを振り返り、洸の部屋を見上げながら愚痴り始める。
「あいつ、泊まっていきますか? とも言いやがらない」
課長も洸には強く出られないらしい……。



