わたし、結婚するんですか?

 この人、ほんとに存在自体が危険だ……と思っていると、遥久は、
「チャトランめ。
 せっかく運んできたのに、ビニール袋でばかり遊びやがって。

 チャトラン、明日は――」
と振り返り、言葉を止めた。

 チャトランはお見送りにも来ないと思ったら、キャットタワーの一番上の丸い穴に入ってこちらを見ていた。

 遥久が、ふっと笑う。

 うわーっ。

 だから、まれに、そういう顔を見せるの、やめて欲しいんですがっ、と思っていると、遥久は、
「ほんとに、猫も飼い主も気まぐれだからな」
と言いながら、靴を履いていたが、機嫌はよさそうだった。

 でも、猫と違って、見送ってますよ……私。

 洸は玄関に正座し、靴を履く遥久の背中を見ながら思っていた。

 しかし、明日はって、明日も来る気かな、この人……と。