わたし、結婚するんですか?

「そのセリフ、貴方がおじいさんになったら、そのまんま返しますよ」
と言うと、

「そうだな。
 お前なら、俺がジイさんになったときにも、その言葉、返せるだろうな」
と床に置いたビニール袋を手に取ろうとしながら、遥久は言ってきた。

 突然、何を言いますか、と洸は赤くなる。

 この人、本当に、本気で私と結婚するつもりなのだろうかな? と思う洸の前で、遥久は、片付けようとしたビニールにぶら下がるチャトランに困っていた。

「こらっ。
 お前、なんで、キャットタワーで遊ばずに、ビニールで遊ぶっ」

「ああ、猫。
 カサカサ言うもの、好きですからねー」

 そのまま、しばらく、ビニールで遊ぶチャトランに遊ばれる遥久を眺めていた。

「あ、珈琲でも淹れましょうか」
と立ち上がると、

「いや、もういい。
 眠れなくなるから」
と遥久は言ってくる。

 時計を見、今日はもう帰ると言い出した。