「今日、中華食べに行くって言ったじゃないですか」
「それは聞いたが、此処に寄るとまでは聞いてない」
と遥久は怒ったように言ってくる。
みんなが帰ったあと、遥久に連絡すると、キャットタワーを抱え、すぐに戻ってきたのだ。
「なんで俺がくそまずい珈琲の店で時間を潰さなきゃならんのだ」
と言いながら、部屋の隅にキャットタワーを設置し、ビニールを剥がしていた。
遥久が、葉山をキャットタワーで殴り殺そうとしたので、あそこで待っててくださいっ、あそこでっ、とマンションの向かいの喫茶店を教えて追い払ったのだ。
まあ、ふかふかのキャットタワーで殴り殺せるとも思えないが……。
チャトランは、相変わらず、遥久の周りをぐるぐるとかまって欲しそうに回っている。
「あそこ趣味でおじいさんがやってるんで、遅くまで空いてるんです」
「ジジイなら、さっさと寝ればいいのにな」
と余程まずかったらしく愚痴っている。



