わたし、結婚するんですか?

「こんな時間に誰ー?」
と郁美が言う。

「あ、た、宅配。
 時間指定してたから」

「こんな時間に時間指定できたっけ?」
と誰かが呟いていたが、ギクリとする間もなく、酔っ払いたちは、今、言ったこともすぐに忘れるようで。

 程よく、ころんと転がり腹を出して見せたチャトランに、
「かわいーっ」
と拍手喝采していた。

 ナイス、チャトラン。

 主人思い……な猫というわけではないようだ。

 チャトランは可愛い可愛いとみんなに撫でられて、得意げに喉を鳴らしている。

 いいな、猫……。

 私もコロンと転がっただけで、可愛い可愛いと褒められてみたい、と思ったとき、何故か、頭の中では遥久が、可愛い可愛いと撫でてくれていた。

 ……何故だ、と思いながら、玄関に行こうとすると、葉山がついてくる。

 お前は酔ってないのか。

 誤魔化されない男だな、と思いながら、足を速める。