うむ。
この春巻き、美味しいな。
普段はあんまり春巻きって、好きじゃないんだけど。
外のパリパリ具合いも、中の具のねったり、とろっとした感じもいいし。
味も絶妙、と思いながら、洸はチラと葉山の後ろの時計を見る。
八時半か。
……キャットタワー、今日、持ってくるつもりなのかな?
いや、もしかして、うちに直接届くんだったりして、といろいろ気になり始めていた。
「どうした? チラチラと俺の方を見て」
と笑いながら葉山が言ってくる。
視線が合わないから、後ろの時計を見ているのはわかっているだろうに。
「いや、時計見てたの」
と周りに誤解されないように言うと、
「なに?
このあと、約束でもあるの?」
と瞳が訊いてくる。
「え……いや」
と曖昧に答える自分を何故か葉山が見ている。
そのとき、横に居た、既に酔っている夏子(なつこ)が洸の肩を抱きながら言ってきた。
「あんた、なに早く帰ろうとしてんの?
まさか男?」



