わたし、結婚するんですか?

 後をついて行き、洸は、その後ろにしゃがむ。

 ふかふかのチャトランは前屈みになると、白とグレージュの毛糸玉のようにしか見えない。

「ねえ、チャトラン。
 あの人、ずっと此処に来てたの?」

 ……せめて、振り向け。

 気まぐれな猫は、ずっと、はぐはぐエサを食べている。

 そんな動く毛糸玉を見つめている間、ずっと自分の額だけが、別のもののような感覚があった。

 まだずっと、遥久の唇がそこに触れているような――。