わたし、結婚するんですか?

 いや、人間は、貴方と目が合うと殺られるっ、と身構えてしまうので、猫もそうなんじゃないかと思ってしまっただけなんですけどね……。

「しかし、記憶はなくなっていても、さすが、言うことは同じだな。

 あのときも、野良だと押し切ろうとしたんだが、押し切れなかった」

 当たり前ですよ、と思いながら、
「幾らしたんですか?」
と訊く。

 いまいち自分に懐いていないマンチカンがまた遥久のところに行くのを見ながら、イケメン好きだが、メスなのかな? と思っていると、遥久は、

「二十五万だ」
と言う。

「お前は、道端の野良猫の方が可哀想だと思っているから、拾ってこいと言ったんだろうが。
 こいつらだって、狭いケージの中で可哀想だったぞ」
と主張してくる。

「私が、貴方に拾ってこいとか言ったんですか?」

 なんて偉そうな、記憶にない私、と思っていると、遥久は、
「いや、そう目で訴えていたんだ。
 野良猫を拾ってこいと」
と言い出す。

 すごい目力だな、私……。