わたし、結婚するんですか?

 だが、遥久は、
「拾ったんだ、野良だ」
と何故か、言い張る。

 ソファを飛び降り、とっとっとっと短い脚で歩く可愛らしい姿を目で追いながら、

「いや……マンチカンじゃないですか?」
と言ったのだが、遥久は、

「拾ったんだ」
と繰り返したあとで、沈黙した。

 しばらく黙っていると、遥久は、俯き、何十年と隠していた罪を告白するかのように、重々しく言ってきた。

「実は、お前が猫を欲しがっていたので、拾ってきてやると言ったんだが、ちょうどいいのが見つからなかったんだ。

 お前は、買ってきてはいらないと言っていた。

 その辺の可愛い猫で充分だと」

 そこで、遥久は大仰に溜息をついてみせる。

「あれだけ、猫、落ちてるのにな」

 ……落ちてはいません。

「何故、いざ、拾おうとすると、居ないんだ。
 まれに居ても、俺の側には寄ってこないし」

「それは……来ないかもしれませんね」
と言うと、遥久は顔を上げ、何故だ? と問うてくる。