わたし、結婚するんですか?

 社長の権威、形無しだろうっ、と言う章浩に、
「わかったわかった。
 外ではあんたが恐れおののくくらい、へりくだってやるから」
と言って、

「ほんとだなっ。
 絶対だぞっ」
と言われる。

 本当に前社長は、息子のことをよく考えていたな、と思う。

 ちゃんと社長に意見の言える重役と、自分のような小生意気な若い課長や部長など。

 息子がボンクラ社長にならないよう、考えて配置している。

 だが、それは、この息子が、ちゃんと彼らの言葉に耳を傾けられる人間だと知っているからだ。

 自分の横で、章浩はまだなにか言っていた。

「わかったわかった」
と適当なところで相槌を打つと、

「全然聞いてないよな、お前ーっ」
と章浩は、洸とまったく同じことを言ってきた。