わたし、結婚するんですか?

「俺は今、幸せにやってるんだっ。

 妻も子も可愛いっ。

 そんなわずかに残っているような気持ちを掘り返して、なんになるっ」

 そう章浩は怒鳴ってきた。

 普段怒らない人間が怒ると怖い。

 だが、それで怯むような遥久ではないので、即座に言い返していた。

「あんたが無駄に格好いいから、心配してるんだろうがっ」

 ルックスのことかと思ったら、章浩の生き様のことのようだった。

「古くから居る役員になにか言われても、笑って流したりとか、俺にはできんっ!」

 ……出来なさそうですよねー。

「ボンボンらしく、もうちょっと我が儘に振る舞ったり、やりたいようにやれよっ。

 馬車馬のように働いて、ボロボロになれよ。

 洸が絶対、俺の方が格好いいと思うようにっ。

 あんたがボロボロになっても、あんたの家族は、一生懸命働いてるあんたを見て、格好いいと思うだろう。

 家族のためだけに格好よくあれよっ」

 誉め殺しか……と思ったが、遥久はなにも考えておらず、ただ、思ったままを言っているようだった。

 ま、そういう人だな、と笑う。