わたし、結婚するんですか?

 スマホを持ったまま、黙っていると、遥久が、
「どうした?」
と訊いてくる。

「……おかーさんが、貴方は怪しいと言っていました」
と今の母のセリフが気になったので、遥久の反応を試すように、そう伝えると、寝転んだ体勢のまま、遥久はこちらを見上げ、

「そういう言い方だったか?」
と突っ込んで訊いてきた。

 うっ。

「……いえその、油断のならない男だと」

 そう正しく言いかえると、
「なにも間違ってはいないようだが」
と言いながら、チャトランはもう居なくなっていたので、起き上がり、

「洸、来い」
と手招きをする。

 怪しい、と言ったあとにも関わらず、つい、少し近づくと、遥久は洸の手を引いて膝にのせた。

「油断ならないというのは間違ってないぞ。

 ――俺はお前を逃がさない。

 そのためなら、なんでもするから」

 洸に顔を近づけ、唇が触れる寸前で止め、遥久は囁く。

「俺とお前の邪魔をする奴は殺してやる」