わたし、結婚するんですか?

「チャトラン、うちに連れてきてもいいんだが。
 猫は家に付くと言うから、可哀想だしな。

 ……新居に移動するときは、どうしたらいいんだろうな」
と遥久は真剣に悩んでいる。

 こう見えて、結構チャトランのことを考えている。

 もしかしたら、私よりも、と洸は思った。

 今も、チャトランに会ってから行こう、と言ったのは、自分がチャトランと遊びたいからではなく、チャトランが寂しがるからだろう。

 エサも水も用意してあるが、そういうものではないし。

「すみません。
 ありがとうございます」
と言うと、また、なにがだ? と言われた。

 遥久としては、当然のことで、特に、チャトランにも洸にも気を使ったつもりはないようだった。

 ちょっと笑ってしまう。

 あの騒がしいお母さんが帰ってきたというのに、今日は平和な夜だな、と思いながら、洸は遥久とともに、駅へ向かって歩いていった。