わたし、結婚するんですか?

 いや……新妻としては、風景と化したくはないのですが、と思っていると、
「いや、言い方が悪かった」
と訂正してきた。

「そうじゃなくて、お前があの家に居て、当たり前の感じになっているというか。

 お前んちのチャトランみたいに。

 そうだ。
 チャトランに会ってから、うちに行こう」

 そう言い出した遥久に、ということは、私は貴方にとって、チャトラン的な存在なのですね、と家でのチャトランの様子を思い浮かべながら、洸は思う。

 キャットタワーの上で、まったりしているチャトラン。

 用事をしているとき、足許にまとわりついて、私を転倒させるチャトラン。

 用事をしようと立ち上がりかけたとき、膝の上に飛び乗ってきて、ゴロゴロ言い始め、なんだか立てないまま、小一時間私に背中を撫でさせるチャトラン。

「……すみませんでした」
と思わず、謝ると、なにがだ? という顔をされた。