わたし、結婚するんですか？

「た、たまたま、そういう仕草になっただけで、別にそんなつもりはなかったのかもよ」
と言うと、エリカはチラとこちらを見、

「あんたって、ああいうタイプを一番警戒しそうに見えたけど。
　すっかりメロメロねえ」
と言ってくる。

「まあでも、章浩みたいなマヌケでも――」

　おにーちゃん、ヘタレがマヌケになりましたよ……。

　あれでもちゃんと、うちの業績を上向きにしてる立派な社長なんですけど……、と猛烈な勢いで反論されるのが怖く、心の中だけで、章浩をかばっていると、エリカは、

「マヌケとマヌケじゃ困るから、まあ、ああいう男でいいんじゃない？」
とまとめるように言ってきた。