新郎はどっちかわからない。

 日付も忘れたって、どんな客だよと思われるに違いない。

 それにしても、どういうことだ。

 私は本当に式場を押さえていたようだが、と思っていると、章浩が言ってくる。

「なんなんだ、お前は。
 相手も居ないのに、式場を押さえてるのか」

 寂しい奴だな、と言われ、
「違うよ。
 相手は居るみたいなんだよ……」
と力なく言ってしまったあとで、慌てる。

 章浩が、ほう、という顔をしたからだ。

 お前の旦那になる奴は鍛えてやる、と言っていたのを思い出していた。

 いや……でも、まあ、悠木課長なら、おにいちゃんの方が鍛えられかねないけど、と思いながら、
「あ、でも、相手が居なくても式場押さえる人も居るみたいだよ」
と言い、誤摩化すように笑ってみた。