わたし、結婚するんですか?

「は、はあ。
 特に用事はないですが。

 課長は大丈夫だったんですか?」

「お前のお母さんに会うんだぞ。
 万障(ばんしょう)繰り合わせてでも、行くに決まってるじゃないか」
と言われて、ちょっと嬉しかったが、そのあと、遥久が、

「……そうか。
 いよいよだな」
と呟いて、あの時折見せる、

 もしかして、悪!? と思わせる油断のならない顔で笑ったので、一気に不安になった。

「よし、洸。
 早く寝ろ。

 早く明日が来るように」
と言って、無理やり寝かしつけるように後ろから洸を抱き締め、そのまま横たえる。

 遥久に抱き締められながら、洸はいろいろ考えていた。

 なにがいよいよっ?

 まさか。
 課長は、お母さんに会いたくて、私と居るとかっ!?

 お母さん、雑誌なんかにもときどき出てるし。

 デザインする家具だけでなく、母親の熱狂的なファンとかいうおじさんにも会ったことあるし。

 それか、課長。
 昔、お母さんにもてあそばれて、お母さんに復讐をっ!?