わたし、結婚するんですか?

 汚してしまったら、という恐怖から、洸はソファから少し離れ、ラグの上に腰を下ろした。

 まあ、ソファには遥久が座っていたから、側に行くのが恥ずかしくて、というのもあるが。

 だが、腰を下ろしたラグも白かったのだが……。

 なんという落ち着かない部屋だ、と固まっていると、脚を組んで、ソファでくつろいでいる遥久に、

「なに正座してるんだ」
と言われた。

「い、いえ、ちょっと緊張してしまいまして……。
 ピクリとでも動いたら、なにか汚してしまいそうで」
と素直に白状すると、

「ほら、来てみて、後悔したろ」
とまた言われる。

「まあ、これだけ片付けといてなんだが。
 実際、暮らすのには、お前のうちくらいの汚れ具合いがちょうどいいかな、とは思ってる。

 人を通せないほど汚くはないが、汚したらどうしようと思うほど、綺麗でもない。

 まあ、この部屋の主なら、ちょっとくらい粗相しても許してくれそうかなと思って、緊張感なく過ごせるからな」