わたし、結婚するんですか?

「……思ってないですよねー」

「思ってるだろっ。
 そうじゃなきゃ、あんな風に値踏みするように俺を見てこないし。

 俺に睨まれて、あんなに怯える必要もない。

 心にやましいところがあるからだ!」

「あのー、それ、おにーちゃんに言うの、やめてくださいね。

 課長みたいな人に断言されたら、そうなのかも、と思ってしまいそうな人なんで」
と言うと、遥久は、

「基本、ヘタレだよな」
と章浩を切る。

「人は悪くないし、仕事も出来るが。

 社長として、そこだけは心配だな。
 社員としては。

 だが、そのヘタレ具合いから、恐らく、お前になにも言えずに、今、こうなってるんだろうから。

 そこは感謝してるぞ、社長のヘタレに」
と章浩をヘタレと決めつけ、言ってきた。

「でも、あのー、課長。
 何度も申し上げているように、私をいいと思ってる人なんて、そんなに居ませんからね……」