わたし、結婚するんですか?

「また、打ち合わせを兼ねて、お二人で、珈琲でも飲みにいらしてください」

 それでは、と言って、一真は、洸の後ろにも頭を下げていた。

 振り返ると、遥久が居た。

 一真が去ったあとで、横に来た遥久が言う。

「……いい人だな」

「そうですね」
と一真が出て行った方を振り返っていると、

「最初はお前と二人で話しているので、ちょっと殺意が湧いたんだが。

 俺が居るのに気づいたせいか。
 上手く話をまとめてくれたので、まあ、見逃そう」
と言ってくる。

「いやあの、佐野さんは、課長が来なくても、同じことを言った気がしますよ」
と言うと、頭をごつりとやられた。

「なに、佐野さんのことをわかってる風に言ってるんだ」
と怒っている。

 どのポイントで怒ってるんだ……。

 いいカップルですね、と佐野さんは褒めてくれたのに、その事実は無視か。

 どんだけ嫉妬深いんだ、と思ってしまう。