シンデレラの魔法は解けない






「手を出すべきか、すごく迷った。

でも、藍ちゃんが辛い思いをするなら、もっと早くから手を挙げておくべきだった」




その言葉がいちいち胸を刺激する。




「強いんですね」



苦し紛れにそう言うあたしに、



「強くないよ。

……大切な藍ちゃん一人も守れなかった」



平さんは切なげに告げ、再び身体を抱きしめる。




もう、痛みなんて吹っ飛んでいた。

ただひたすら平さんを感じる。

あぁ……平さんが好きだ。

大好きだ。