そんな顔しないでほしい。 だいいち、 「どうして平さんが謝るんですか?」 聞いてしまった。 平さんは無様にひれ伏すあたしを助けてくれたのに。 あたしを助ける義理なんてないはずなのに! だけど平さんは、 「大切な藍ちゃんを、こんなにしてしまって」 弱々しく告げ……ぐしゃぐしゃなあたしの身体をぎゅっと抱きしめた。 甘い香水の香りに混ざって、平さんの微かな香りがする。 そして、見た目よりもずっと力強いその身体に、頭がくらくらとした。 心臓はさらに速く脈打ち、発火してしまいそう。