シンデレラの魔法は解けない







「この男、馬鹿にしやがって!」




リーダーが拳を振り上げ……あたしは顔を歪めていた。

そして、考える間も無く一瞬の出来事だった……






平さんはその拳を、片手で簡単に受け止める。

そして口角を上げて彼に言う。




「悪いけど俺、マジで強いですよ?」



「何を……!?俺は柔道の有段者だ!」



「……それで?」




男性の拳を握ったままの平さんに、別の男性が思いっきり鞄を振り下ろす。

まるでアクションスターのように、平さんはそれを蹴り上げる。

鞄は華麗な円を描いてどさっと地面に落ちた。

そして、男性は手首を押さえてうずくまっていた。