シンデレラの魔法は解けない







そんな男性の手を……平さんがぐっと掴む。

平さんの顔なんて見えなかったが、あたしの胸ぐらから離された男性の手は震えていた。

その男性は顔を歪ませながら、



「いててて……何するんだ、てめぇ!」



平さんに悪態を吐く。

そんな彼に向かって、平さんは相変わらず静かに告げる。




「女性に手を出すとか、アタマ大丈夫ですか?」



「!?」



「それに、被害者はあの夫婦ではなく、藍ちゃんです。

あなたたちは事情も知らず、藍ちゃんを痛めつけようとするんですね」