シンデレラの魔法は解けない






「たかが衣装って言われるけど、俺は誇りを持っているんだ。

俺がその人のイメージを作っていることが自慢なんだ」




思わず平さんの言葉に聴き入ってしまった。

そして、仕事に誇りを持っている平さんはかっこいいと思った。

お洒落でイケメンだけではない。

平さんの内面を知れば知るほど、どんどん惹かれていくんだ。





「こんな無駄話に時間を取っていてもいけないね。

さあ、行くよ」




平さんはそっとあたしの手に指を絡ませる。

同じようにその大きな手に指を絡ませながら、あたしは甘い気分に浸っていた。