「どう?気に入ってくれた?」
平さんの言葉に大きく頷く。
そして彼に告げる。
「服ってすごいんですね。
着るものを変えるだけで、こうも違った人に見えるなんて」
「だから難しいんだよね。
シャツ一つで印象がすごく変わるから。
奥が深い世界だと思うよ」
平さんの言葉に納得してしまう。
「俺が衣装を担当している人たちも、彼らのイメージに合うように感性を働かせているんだ」
感性か……
あたしみたいな事務仕事ではなくて、平さんは感性に頼るような芸術的な仕事。
そして、間違いなく平さんの感性は本物なんだろう。



