シンデレラの魔法は解けない







またまた平さんと手が触れ、きゅんと胸が音を立てる。

そんなあたしの胸の内なんて知らない平さんは、近くにかけてあった青色のドレスを手に取る。

まるで青空のような鮮やかな青地の上に、花柄のチュールが付いた可愛らしいものだった。






「藍ちゃんはこれに着替えてね」




平さんは言う。

そして、




「ネックレスはこれで……ピアスはこれ。

バッグはこんなのが合うかなぁ」




ささっと小物を選んで渡してくれる。

言われた通りそれを身につけ、何気なく鏡を見たあたしは……言葉を失っていた。