シンデレラの魔法は解けない






きっとあたしはすごく暗い顔をしていたのだろう。




「藍ちゃん、なんて顔してるの?」




平さんが吹き出しそうになりながら言う。




「俺は藍ちゃんの友達と元彼を見返してやろうと思ってるんだよ?」



「……え?」



「藍ちゃんが可愛く変身して、お洒落な彼氏を連れていたら、二人はきっと僻むでしょ?」





そうなんだ。

平さんはそこまであたしのことを考えてくれていたんだ。

彼氏のふりだけでも無茶なお願いなのに、二人に復讐することまで考えてくれていたんだ。




胸の高鳴りがさらに大きくなる。

きゅんきゅんとありえない音を立てる胸を掴んで、真っ赤な顔で立っていた。




好きだ……

やっぱり、平さんが好きなんだ。