シンデレラの魔法は解けない






あたしは複雑な顔をしていたのだろう。




「まぁ、安心して見てなって」




平さんは面白そうに言って……

あたしの手をぎゅっと握る。

不意に手を握られて心臓が飛び上がった。

そして、胸が甘く苦しく騒ぎ始める。

平さんの大きな手を握り、微かに香る香水の香りに酔いながら、やっぱり極上の男性だと再確認する。

こんなに素敵な人と、今日一日恋人でいられるなんて。

手を握ったまま、そっと平さんに身を寄せた。