シンデレラの魔法は解けない






「藍が悪いんだ」




武雄はあたしを睨みながら言う。




「お前があの男と、俺たちの披露宴を滅茶苦茶にしたから」




その言葉に心が痛む。

確かにあたしは、やりすぎたのかもしれない。

だけど、



「自分のしたことを棚に上げて、偉そうなことを言わないでよ!」



あたしは叫んでいた。




昔からそうだった。

武雄は自分を正当化して、あたしに謝ったことなんて一度もなかった。

武雄が好きだったからそれを許していたが、今になって思う。

あたしはなんで、こんな男が好きだったのだろうか。

そう思って頭に浮かぶのは、大好きな平さん。

優しくて、大人で、あたしのことを大切にしてくれて。

武雄と別れて良かった。

平さんに出会えて良かった。