だけど、今は悠長にそんなこと考えていられなかった。
だって……
倒れている男性の奥に突っ立って、怯えた顔でこっちを見ているのは、
「武雄!?」
だったからだ。
心臓がばくばくと嫌な音を立てる。
それはもちろん、武雄が好きだからではない。
あんなに好きだったのに、武雄を見ても何とも思わない。
そして、嫌悪すら感じる。
だって……
「武雄だったの?」
ストーカーのように、あたしを追い回したのは。
そして、もしかして、空き巣だって……
「あんた、知り合い?」
少し驚いたように聞く原さんの言葉に答えようとした時だった。



