シンデレラの魔法は解けない





「高校生の時、二週間だけ。

なんとなく流れで付き合ったんだけどさ、あいつ全然優しくなくて」



「……え?」



「あたしは名ばかりの彼女だった。

あたしなんて放っておいて、あいつは喧嘩に明け暮れてた」



「そうなんですね……」



「それで、デートしてって言ったら、うぜぇから別れるって」





なんだその、ネタみたいな話は。

そして、今の優しい平さんからは想像がつかない。

ポカーンとするあたしに、原さんは続ける。





「あたしも今は彼氏がいるし、慶太のことは好きじゃない。

でも、大切にされているあんたが羨ましいよ」