さすがに、「おっさんが行く寂れた居酒屋」なんかに、原さんを連れて行く気にはならなかった。
そこで、女子会や合コンで使われるような完全個室の居酒屋に行くことにする。
あたしたちは近道である細い道に入り、居酒屋目指して歩いていた。
「あたしさー、昔、少しだけ慶太と付き合ったことがあるんだ」
原さんの思わぬ言葉に思わず息を飲んだ。
そして、ずきりとあたしの胸が痛む。
やっぱり、平さんと原さんの関係は普通ではないんだ。
嫌な予感満載のあたしとは違い、原さんは少し切なげに空を見て懐かしそうにふふっと笑う。



