平さんの家に戻ると、気まずい沈黙が訪れた。
その沈黙の中、
「藍ちゃんは先に風呂入って寝ていて」
平さんはぴしゃりと言う。
その言葉は静かだが、やっぱり嫌と言わせない強さがあって、暗い顔のまま入浴し、ベッドに潜り込む。
その間も平さんはあたしに背を向けて、換気扇の下で煙草を吸っていた。
昨日はあんなに幸せだったのに、今日はどん底だ。
贅沢者のあたしは、平さんに嫌われるのも嫌だし、平さんが他の女性を好きになるのも嫌だ。
付き合えるだけで幸せだと思っていたのに、それだけでは物足りなくなってしまったのだ。
あたしたちはこれから、どうなるのだろう。



