シンデレラの魔法は解けない






平さんはあたしに優しかった。

怒ることなんてしなかった。

だから、今回も優しい平さんで済ませてくれるだろうと思っていた。

むしろ、原あかりとのことを謝ってくれると思った。





だけど、




「なんでコンビニなんかに一人で行くの?

誰かに尾けられてるんだよね?」




平さんは静かに言う。

静かに言うのだが、その声は冷たくて、怒りすら感じた。




「でも……」



「でもじゃない。

藍ちゃんは迂闊なんだよ。

万が一藍ちゃんの身に何かあったらどうするの?」