シンデレラの魔法は解けない






不自然に揺れた街路樹を見ながら、じりじりと後ずさる。

恐怖で足が震えていた。

鼓動が止まりそうに速い。




あたし、どうしたらいいの?

このまま、走って逃げればいいの?

でも、この閑静な住宅街で、もし追ってこられたら……

考えただけで腰を抜かしそうになる。





街路樹を見続け、一方また一方と下がるあたしを……



「藍ちゃん?」



大好きなその声が呼んだ。




その瞬間あたしは飛び上がり、無様に地面に尻餅をつく。

そんなみっともないあたしの前に、平さんは立っていた。

相変わらずお洒落な服を着て、素敵オーラ満載で。