そんなことばかり考えているあたしをよそに、平さんと原あかりはとあるマンションの前で立ち止まった。 そのマンションを見て、息を飲んだ。 あたしも一度だけ、ここに来たことがある。 ここにあるのは、平さんの仕事部屋だ。 行かないで…… 行かないで! そう願うのに、二人は揃って階段を上がって行く。 そして、その部屋の前にたどり着き、鍵を開けて入っていった。 仕事だよね? そう思うが、嫌な想像は消えない。 二人っきりの密室で、平さんは原あかりと何をするのだろう。