シンデレラの魔法は解けない






「でも、平のストレスは相当だと思うんだ。

あんなに傲慢でやんちゃな男だったのに、今は大人になってすげー我慢してる。

この前も担当しているFの艶に怒鳴られたっつーし」



「平を怒鳴るとかやべぇな、艶」




北野さんは面白そうに笑っていた。

だけど、あたしは笑えなかった。





平さんが仕事のストレスを抱えていることは知っていた。

そして、はけ口になりたいと思っていた。

でも、どれだけ頑張っても平さんは優しい平さんのままで、あたしは何の役にも立っていないのだ。

どうしたら、平さんの役に立てるのだろう。

あたしは、平さんの力になりたい。