ぽかーんと北野さんを見ていると、彼は楽しそうに告げる。 「俺はそんなキャラじゃねぇよ。 平に目ぇつけられてただけだ」 「高三の時に殴り合って、同じ病室に入院させられてたよな」 「あー。あの時は屈辱だった。 あの入院のせいで、俺は平と仲良しになってしまった」 北野さんは懐かしそうに言う。 この人たちは、あたしの知らない世界を生きてきたんだ。 そして、あたしの知らない平さんを知っている。 そのことが少し羨ましかった。