シンデレラの魔法は解けない






「藍ちゃん、仕事頑張ってね」




笑顔の平さんに見送られて、あたしは家を出た。

オフィスに向かって歩きながら、やっぱり色んなことを考えてしまった。




昨夜のキスのこと。

平さんはあたしを抱かなかったこと。

そして、原あかりのこと。

平さんと一緒にいられるだけで幸せだと思う一方で、平さんに愛されたいなんて思ってしまう。

あたしは難しいいきものだ。





平さんのことばかり考えるあたしは、ふと背後に気配を感じた。

もしかして、またつけられている!?

恐ろしくなって、後ろを振り返ることもせず、ただオフィス目指して走った。

あたしはどうなってしまうのだろう。