「でも……俺は藍ちゃんの口から、他の男の話なんて聞きたくないな」
平さんはきっと、あたしといる間にも原あかりのことを考えているのに、あたしの心は平さんでいっぱいにしていく。
本当に、甘くて優しくて残酷な男だ。
「平さん、疲れているんですね」
苦し紛れに吐き出すあたしに、
「疲れているのかな」
平さんはなおも甘く心地よい声で告げる。
こんなのいけない。
いけないと分かっていても、期待してしまう。
平さんのものになりたいと思ってしまう。
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