シンデレラの魔法は解けない






真っ赤な顔のあたしは思わず俯いたが、



「ほら、可愛い」



平さんはあたしの前にしゃがみ込んで、そっと頰に触れる。

その優しい笑顔とほんのり香る煙草のにおいに、頭がくらくらした。




「こんなに可愛い藍ちゃんをひとりじめ出来るなんて、俺は幸せだね」





それ、本気で言ってるの?

平さんは他に好きな人がいるというのに。

それなのに、そんなこと言ってしまうの?





違うと分かっているのに、本気にしてしまう。

平さんは罪な男だ。