そんなことばかり考えるあたしに、平さんはまたまた驚くことを告げる。
「そういえば藍ちゃん、F好きなんだよね?
この前の打ち合わせの時にそのことを言ったら、ライブに招待してもらえたよ」
「……え!?」
「シークレットライブで、五百人限定のものなんだけど」
「しっ……シークレットライブ!?」
「良かったら、一緒に行こうよ」
あたしは頰を染めて平さんを見ていた。
シークレットライブなんてプレミアなものに対する喜びではない。
それはもちろん嬉しいのだが、平さんと行けるのが何よりも嬉しいんだ。
「あっ……ありがとうございます!」
あたしは再び紅くなって、頭を下げていた。
あたしは、こうも幸せでいいのだろうか。
平さんはあたしを好きな訳ではないのに、どうしてこうも尽くしてくれるのだろうか。
……尽くしてくれる。
そう、その言葉がぴったりだ。
あたしも、平さんに何かしてあげたい。
だけど、出来ることが何もないのだ。



